結婚までの生活

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日曜日のラーメン屋が嫌いだった彩子。今 思うと やはり貧乏だったのかもしれない。外食はラーメン屋しか行った事がなかった。だから、徳子は日曜日だけでも外食気分を味合わせたいと思ってラーメン屋を開いたに違いない。直接 聞いた事はなかったけど、麺類好きの明夫の為にも、そうしたかったのだろう。徳子から聞いたのだが、明夫と徳子のお見合いの時、明夫は うどんの おかわりを3杯したそうだ。仲人さんに、明夫は膝をつねらたそうだ。そんな明夫の要望を叶えていた徳子を大人になった彩子は「健気だったんだ。」と思った。月曜日から土曜日まで仕事をして、日曜日くらい、ゆっくりしたいって普通は思うのにラーメン屋を開いてくれたのだ。父は母に愛されていたんだなって。なんか微笑ましいなって。 結局、徳子の料理は そんな感じだったので 彩子は料理本を買って勉強して両親に食べてもらって評価してもらった。ところが何を作っても「うまい。」「ハイカラな料理だこと。」というのが感想だった。評価には、程遠かったが、料理をする事に彩子は少し慣れた。 料理をしている時は、徳子が側で見ていて、昔はこうだったとか いろいろな話をしてくれた。こんなに母と話した事はなかった。もっと話しておけば良かったと思った。 いつも働いていた母で、話す時間など殆どなかった。彩子は ばあちゃん子だったから母と話すのは貴重で、緊張もした。専業主婦の母親がいる友達が羨ましかった。
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