想うは君の面影

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俺は15歳だった2年前から華族である伊集院家に使用人として奉公している。大旦那様はいくつも工場を持つ大きな会社を運営されていて、お姿を見ることは稀だ。 江戸の時分に建てられた大きなお屋敷は庭も部屋数も想像を超え、遥かに広くて多い。一体何人働いているのか未だに分からない。 俺の役目は清様のお世話をすることだ。 清様は伊集院家の四男で、お身体が弱いため、ほぼ部屋でお過ごしになられる。22歳だというのに、その姿は少年かと思うくらい幼く妖艶だ。他人から過度に触られることを嫌い、髪は腰まで長く肌は透けるように白い。笑うと紅い唇が美しく弧を描く。 俺は清様のお付になり心からこの仕事を誇りに思っている。できれば一生お仕えしたい。
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