私たち家族の秘密

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私たち家族の秘密

 私のご主人様がお亡くなりになったのは、3年前のことでした。ご主人さまが紹介してくれた小さき主人が10歳の頃で、彼女にとって私は最後の家族なのだと、ご主人さまはよく話してくださいました。  ご主人さまは「家族」とは何かについてはとても丁寧に教えてくださいましたが、「家族」のタスクについては教えてくださいませんでした。目標がわかっていながら、私のタスク候補がゼロのままだったのは、私のアンドロイドとしての性能が足らなかったからだと分析しております。小さき主人の食事を作り、お話を聞き、一緒に寝る。そういったタスクは既に「家族」であるとお話いただく前から行っており、何を達成することが「家族」の役割なのか、メイン・メモリやパーソナルメモリを検索いたしましたが、ついぞ解は得られませんでした。国が管理している常識とも言えるメイン・メモリでは定義以上のことはわからず、私の記憶であるパーソナル・メモリには当然のことながら私の経験以上のことは記されていなかったのです。  そんな私を見かねたのか、ある日ご主人さまが私にご指示しました。  家族の秘密を守ってほしい――。     
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