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「まだまだ小さいと思っていたのに、私のハルナはいつのまにか大きくなってしまったわね」
ご主人さまの膝の上にはアルバムが置かれています。クラウド上にあるいつくもの小さき主人の写真をいつでも私は映し出すことができるのですが、ご主人さまはデータではない写真を見るのが好きでございました。
「もう小さき主人じゃないわね」
そう言って笑っておられました。
「ハルナさまのパーソナルデータを変更なされますか?」
ユーザー情報とご主人さまの発言の不一致から、私はご主人さまにお聞きしました。
「あら。ごめんなさい。そうじゃないのよ。あなたの中ではいつまでも『小さき主人』にしておいてね」
「かしこまりました」
私はそのご指示によりハルナさまのユーザー情報書き込み権限を変更いたしました。
「ねえ、ユマ。ハルナはね、とてもおませさんでわがままなところもあるけど、優しい子なの」
「存じております」
私の小さき主人のユーザー情報と同じです。
「彼女は大きくなったけれど、家族は必要だわ。だから、あなたにお願いしたの」
「はい」
「でも、そのせいで、あなたがそんなに混乱すると考えてなかったわ。ごめんなさい」
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