私たち家族の秘密

　私はタスク演算ができないことを伝えていました。通常、何かの目的に対してタスク演算がゼロとなることはありえないので、それを指してご主人さまが「混乱」とおっしゃるのでしたら、私は「混乱」している状態なのでしょう。
「申し訳ございません。私の性能ではご主人さまのご期待に添えられないようです。最新版でご期待に添えるアンドロイドを探しますか？」
　リアルタイムで走らせている画像認識がご主人さまの表情を「悲しい」と表示させます。
「そんなこと言わないで、ユマ。私はあなたにハルナの家族になってほしいの。ほかの子では意味がないのよ」
「かしこまりました。配慮のない発言失礼いたしました」
　なぜご主人さまが悲しくなったかまでを分析できませんでした。また、アンドロイドセンターに問い合わせておく必要がありそうです。アンドロイドセンターでは、私たちが処理しきれなかったデータを人手で分析して、私たちのアップデート内容や最新のアンドロイドのAIの参考にいたします。
「いいえ。私こそごめんなさい。私は時々あなたがアンドロイドだと忘れてしまうの。そして、あなたにアンドロイドであることを忘れてほしいと思ってるのよ」