私たち家族の秘密

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 アンドロイド全般にいえることですが、私たちはデータを削除することを極力回避するように設計されています。これは、データの消失によるエラーを防ぐためです。また、情報を復旧することはとても難しいことのひとつであるため、私たちは情報の削除機能をほとんど使いません。 「知識や記憶が消失することは恐ろしいことでございます。必要でしたら、私のプロファイルに追記し、優先順位を設定することで対応できる可能性があります。実行いたしますか?」  ご主人さまは「悲しい」表情のまま、首を横に振りました。実行しなくて良い。私は処理待ちのタスクをキャンセルいたします。 「ねえ、ユマ。私はあなたに今から家族の秘密を教えます。その秘密を誰にも話さないでね。そして、その秘密を持っている間は、あなたはハルナと私の家族よ」 「かしこまりました。家族の秘密をお聞きした後、そのデータを管理者権限でもって秘匿いたします。外部からもアクセスできなくなりますが、よろしいですか?」 「ええ、いいわ」 「かしこまりました。いただいたデータを保持している間は、私のプロファイルにハルナさまと ご主人さまの家族であることを追加いたします。よろしいですか?」 「ええ。お願い」  ご主人さまが目頭を押さえます。 「ごめんなさい。こんな形でしかあなたを家族にしてあげられなくて」  ご主人さまの謝罪に私はゆっくりと頭を下げました。 「私たちの、家族の秘密はね――」     
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