4.心に茨を持つ少年(The Boy With The Thorn In His Side / The Smiths)

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 昴が家庭教師のバイトに出かけて一人になったかれんは、さっきまで昴が座っていたソファに腰を下ろした。  店内には相変わらず、ザ・スミスの曲が流れている。  昴の声によく似たモリッシーの声を聴いていると、かれんはどうしても昴のことを考えてしまう。  そして、昴の元に届いているあの三枚のポストカードのことを思い出してしまう。  一枚目はビートルズの「Live at the BBC」のジャケット写真のポストカードに「あの時のこと、覚えてるよね?」、  二枚目は初期の、まだブライアン・ジョーンズが生きていた頃のローリング・ストーンズのメンバーが並んで写っているポストカードに「どうして、何も言って来ないの?」、  そして、三枚目はザ・ジャムのメンバーがライブをしている白黒写真のポストカードに「もう、ガマンできない」……。  この間、三枚目のザ・ジャムのポストカードを見てしまってから、かれんは何かに付けてこのポストカードのことを思い出してしまうようになってしまった。  昴はこのポストカードは「僕の東京時代の子が送って来たんだ」と言っていた。  かれんは昴に「かれんちゃん、東京時代の子、気になる?」と訊かれて、とっさに「ううん、別に」と答えたが、言葉とは裏腹にその「東京時代の子」がものすごく気になっているのだ。  一体、この「東京時代の子」は、昴とどういう関係だったというのだろうか。  昴のただの知り合いだろうか。  いや、ポストカードに書いてあった言葉を見ると、ただの知り合いだとは考えられない。  昴の友だちだろうか。  それとも……。
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