5.君の友だち(You've Got a Friend / Carole King)

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5.君の友だち(You've Got a Friend / Carole King)

 JR新潟駅。  ここの周辺を訪れるのは久しぶりだな、とかれんは思った。 (――あっ、違った。この間、ちょっとだけ来たんだっけ)  かれんの上司の野辺の家の壁に、黒いペンキが塗られた事件。  その謎を解いている昴に「かれんちゃんにも、事の真相がどうだったのか見ていてほしいんだ」と言われて来た時以来だ。 (――まあ、どちらにしても、あの場所に行くのは久しぶりだけど)  かれんはそう思いながら、新潟駅のバスターミナル近くの長い階段を登った。  待ち合わせした駅近くの本屋「ジュンク堂」の雑誌売り場に行ってみると、友達の北田(きただ)希恵(きえ)は既に来ていて、ファッション雑誌に目を通していた。 「――希恵、久しぶりだね」  かれんが声をかけると、希恵は雑誌を置いて顔を上げた。 「うん、久しぶり、元気?」 「元気だよ。希恵も元気そうでよかった。待った?」  希恵は笑顔で首を横に振ったが、多分、結構前からここで立ち読みしていたのだろうということをかれんは知っている。  希恵はかれんの大学時代からの友達だが、出会った頃から真面目で優しい性格だった。待ち合わせにはいつも誰よりも早く来ているような()なのだ。 「今日、付き合わせてごめんね。せっかくの休みなのに」  希恵の言葉に、今度はかれんが笑顔で首を横に振った。 「ううん、別に。土曜日は結構ヒマなんだ」 「あっ、そうだったね」  希恵が意味ありげな笑みを浮かべた。「でも、昨日ドキドキしちゃって、良く眠れなかったんだ。どんなこと言われるんだろうなって思って」 「もう、希恵って相変わらずだね。――じゃあ、行こうか」 「うん」  かれんと希恵は並んでジュンク堂を後にした。
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