この気持ちを伝えないで

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「なぁ勇気。それって本物?」 「は?」 「髪の毛」 「泰成…お前いつから俺がカツラだと…」 「ちげーわ。色。結構茶色じゃん。それ地毛?」 「あぁ、うん」 「俺もそういう色がよかった…」 「泰成髪ほぼないじゃないすか」 「ないんじゃねーよ。髪切ってんの」 「そうですかー」 結構サラサラだけど… なんかフワフワしてる気もする… 「ちょ、触んないでもらえませんか…」 「…タンポポみたい」 「は?」 「きれい…」 なんて言ってしまったのは、小6のとき 「は?なに…?」 「…あ、わり。つい…」 「女口説くみたいなこと俺に言ってどうすんだよw女にやれっての」 その時のクシャッとした笑顔が 今でも離れない 「なー泰成。聞いてる?」 「んー…聞いてなかった」 「まぁそんな気はしたけど…」 俺は勇気が好きなのかもしれない 「あ、それでさー…」 「…」 日に焼けた手 寒さで少し赤くなってる耳 口を動かすたびに聞こえてくる声 真っ黒な目 そして何より あの時から変わらない タンポポみたいにきれいな髪 「好きかもっていうより…好きだなこれは…」 「何が?」 「…お前の髪」 あの時から変わらず、サラサラしてて、フワフワしてる 「…そういう趣味の人?てか急に触るなし…」 「まぁ…とりあえず死ね」 もっと触って 「てか昔にも言った気がするけど、そういうのは女にやれっての。ま、相手いないだろうけど」 困らせたいなんて 「二度死ね」 おかしいことだって知ってるから 「勇気も、早く彼女作れば?」 「そっちもな」 いらないし… 「いた方が楽しいんじゃねーの?」 「んー…今は泰成がいて楽しいからいいかなー…なーんて」 「…ふーん」
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