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人産み ~『現代語版 古ナカツ国記』より抜粋
原初の神、天の中央に御座す神。天上界、地上界、冥界の三界分離に関わり、その後は長く他の神々を見守っていた。ある時、神々が大きな宴を開いた。その場に原初の神も姿を見せた。神は宴席を見渡しこう言った。
「神は今や天上界を埋め尽くさん程に殖え、三界は豊かになった。神は千姿万態であり、それこそが世界の礎である」
「しかし、未だ地上界は無人である。天上界が神の、冥界が亡者とその支配者達の世界であるように、地上界には地上界の文化を担う者が必要だ。我ら同様、千般の民が要る」
言い終わると神は、無数の光を地上界へ遍く降り注がせた。それは空を覆い尽くし、あまた照らす光は一つ一つ形を変え大地に溶けていった。
その後地上界には、獣のような人や虫のような人、花のような人や岩のような人が生まれた。そして最後に五体のみを持つ人が生まれた。
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