秘密

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授業の帰り道、信号待ちをしながら、ふと思いついた。 古川と川口を会わせてみようか。 変わった能力を持っている同士、仲良くなるかもしれない。 そんなことを考えていた。 「森田さん、そりゃ、やめといた方がいいですよ。」 不意に後ろから声を掛けられた。 振り向くと見知らぬ青年が、立っている。 「え?俺に声かけた?」 何故、この人は、俺の名前を? 「古川さんと川口さんを会わせるのは、やめた方がいいですよ。余計なお節介です。」 え?俺の考えていることが、わかるのか? 「あ、すいません、勝手に。私人の考えていることが、読めるので。」 「あ、なるほど。」 三人目。 ここまでくると、慣れてきた。 なんだって、短期間に、こんなに特殊な能力に出会うのやら。 「私もね、人の心を読めるのを内緒にしていますから。嫌がられるでしょうから。普段は、なるべく壁を作って読まないようにしていますが。いま、気を抜いたら森田さんの考えを読んでしまって。」 「あ、そうなのですね。古川や川口も人には言ってないって言うし。」 「教えても、特に世界は変わりませんし、人々の日常も変わらないでしょ。変に思われて嫌われるくらいなら、黙っていた方がいい。そう言う人、沢山います。」 「え、沢山いる?」 古川や川口みたいな人が沢山いるのか? 「心読めちゃうと、たまにそう言う方にあいます。ほっておくことが、多いですけど。」 「みんな、隠して普通に生きているのか。」 「そうですね。だから、そっとしておいてあげてください。」 青年は、それだけ言うと去っていった。 青年の忠告どおり、二人の能力のことは、誰にも言わないでおくことにした。 そして、いつもの日常に戻った。
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