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「終わった……」
ぐっと腕を上に突き上げ、大きく伸びをする。時間は、大体定時から二時間後か。ちらと和泉の机を見たが、既に居なかった。
戸塚の仕事が終わるのを待っていた隣の席の高田が、机の上に乗った資料の山を見ながら、苦笑いをした。
「お疲れ、戸塚。お前ほんとによくやるよ……」
「……好きでやってるわけじゃないんだけどな」
「お前頼みやすいというか、使いやすいというか……。その上仕事が早いから、皆ついついお前に回しちまうんだよな……」
「今日のこれは、"つい"とかでは無かったけどな」
戸塚は和泉から貰った紙束を指さして言った。
「ああ、和泉さんな」
高田はペラペラと紙をめくった。
「お前、色んな人に親切にし過ぎなんだよ。そんなんだから恋人にすぐ逃げられんだ」
戸塚春雪、28歳。容姿よし。性格よし。金もそこそこ持っている。そんな彼に、恋人ができない理由は二つだった。
ひとつは、皆に親切すぎるところ。もうひとつは__
「もう少し仕事断れよな。それとも、Domってのは誰にでも世話焼きたくなんのか?」
「性別は関係ないだろ」
「どうだか。お前昔からそうだし」
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