1. 待てもできない

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 昔からって、お前俺の幼馴染かよと言いたくなったが、あえて口を噤む。高田は半年前のことを昔話として語るような奴だ。気にするだけ無駄だ。 「……俺がお節介かどうかは置いといて、今日はどっかに食べに行こう」 「ラーメン」 「いいね」  立ち上がって、帰ろうとしたその時。後ろから、女性社員の声が響いた。 「よかった。戸塚さんまだいたんですね」  別の科の女だ。  良くない。全くもって良くない。何一つ良くない。 「戸塚さんの方にお送りしたさっきの資料、不備があったみたいで」 「あの、今日はちょっと……」 「あ、高田さんもいらっしゃったんですね。丁度よかったです」  俺は漬物かと高田が呟く。メインディッシュにされている俺の身にもなってみろと高田の足を思いっきり踏んだ。 「これ、申し訳ないんですが、金曜日……いや、……明日までに……」  それだけ言って、女性は部屋をあとにした。ちょっと待て、期日が違うじゃないか。  高田が、頭をガシガシ掻きながら、思いきりため息をつく。 「悪かった」  言いながら席に戻る。資料を確認すると、とても不備とは言えない量だった。高田は、貰った資料と既に出来ているものを見比べながら、またため息をついた。
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