彼女の物語

4/6
前へ
/11ページ
次へ
*  目覚ましが鳴るより先に目が覚めた。  身体を起こし、ベッドを降りる。  ホテルの柔らかい絨毯を歩き、大きなカーテンを開けてみた。  白、だった。  真っ白だった。  大きな窓の向こうに見える街並みは白に覆われていた。  雪が降ったのだ。雪がほとんど降らない横浜に。  部屋に備え付けのテレビでは首都圏の積雪を記録したと騒いでいる。交通機関の乱れも発生しているらしい。国立大二次試験の開始時間に影響が出そうということも伝えている。  そう、今日は国立大二次試験の日だ。  私は横浜のホテルに泊まっていた。寝る前は雪が積もっていなかったはずだが、夜の間に雪が降ったらしい。天気予報で言っていたとおりになった。  午後からは晴れるらしいが、試験は午前だ。  交通機関の乱れを懸念して、徒歩圏内のホテルに宿泊しておいてよかった。試験には間に合いそうだ。  私はカーテンを閉めて、着替えるべく洗面所へ向かった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

37人が本棚に入れています
本棚に追加