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別れの日
アタシは今日、別れる。
最愛の男性と。
本日、快晴。しかも大安。
真っ白な教会の裏庭には、桜の木が多く植えられていた。
青空に満開の桜のピンクが映えて、とてもキレイ。
白いアンティークのベンチに1人で座っていると、彼が息を切らしてきた。
「ゴメン! ちょっと友達に捕まっててさ! 遅れたね」
「ううん。桜を見てたから」
「キレイだね」
「うん。とっても」
彼もアタシもにこやかに、一緒のベンチに座る。
「良い天気で良かったわ。今日は別れの日だし」
「そうだね。こういう日に別れれば、気分も良いし」
アタシ達は今日、恋人という関係を終わりにする。
これはもう、三ヶ月前から決めていたことだ。
だからお互いに笑顔。
「思い出してみると、付き合って6年か。長かったね」
「そうね。まだお互い、高校生だったもの」
最初は仲の良いクラスメイトだった。
だけど2人っきりで会うことが多くなって、自然と恋人になっていた。
「2人でいろんな思い出、作ったわよね。いろいろなことしたし」
「いろいろな所にも出掛けたしね」
「思えばよく続いたわよねぇ。6年も」
「この6年でキミのこと、ずいぶん知った気がするな」
「アラ、まだまだよ。女は底が知れない生き物なのよ!」
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