別れの日

1/4
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

別れの日

アタシは今日、別れる。 最愛の男性と。 本日、快晴。しかも大安。 真っ白な教会の裏庭には、桜の木が多く植えられていた。 青空に満開の桜のピンクが映えて、とてもキレイ。 白いアンティークのベンチに1人で座っていると、彼が息を切らしてきた。 「ゴメン! ちょっと友達に捕まっててさ! 遅れたね」 「ううん。桜を見てたから」 「キレイだね」 「うん。とっても」 彼もアタシもにこやかに、一緒のベンチに座る。 「良い天気で良かったわ。今日は別れの日だし」 「そうだね。こういう日に別れれば、気分も良いし」 アタシ達は今日、恋人という関係を終わりにする。 これはもう、三ヶ月前から決めていたことだ。 だからお互いに笑顔。 「思い出してみると、付き合って6年か。長かったね」 「そうね。まだお互い、高校生だったもの」 最初は仲の良いクラスメイトだった。 だけど2人っきりで会うことが多くなって、自然と恋人になっていた。 「2人でいろんな思い出、作ったわよね。いろいろなことしたし」 「いろいろな所にも出掛けたしね」 「思えばよく続いたわよねぇ。6年も」 「この6年でキミのこと、ずいぶん知った気がするな」 「アラ、まだまだよ。女は底が知れない生き物なのよ!」     
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!