<第41章>横恋慕@タクト その2

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<第41章>横恋慕@タクト その2

「タクト、セクハラやでその距離。」 店主が助け舟を出す。 「なーにーがー?」 半目になって言う。 だんだんタカヒトに、似てきた。 「相当酔ってるのか、 酔ってる振りしてるのか、知らんけど 変な事して後で痛い目みるのは、おまえやで。」 「酔ってませーん。」 と言いながら、 ひろこの耳元にタクトがキスをしてきた。 「ちょっと!タクトさんっ!!」 彼女が赤くなって、止める。 「おい、止めときやって!」 「ひろこさん、良い匂いがする。」 「イヤだっ!」 「ねえ、ひろこさん。」 急にタクトが、真面目な顔をして彼女に向かい合うと ひろこを見つめた。 その顔は到底酔っている様には、見えない。 「どうしたの?」 彼女が聞き返す。 それを店主が黙って、見守っていた。 「タカヒトやめて、俺と結婚しない?」 「は?」 ひろこはまばたきをして、聞き返した。 他に客はいない。 しんと静まり返る店内に、彼の声だけが響いた。 「俺と、結婚しよう。」 確かにタクトはひろこにそう言うと、 彼女をぐっと抱きしめた。 横恋慕ラプソディ <前編>~完~
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