<第2章>有能な彼

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<第2章>有能な彼

しかし、いざ仕事を教える段になると、彼は素直だった。 動物に対する思いが 仕事ぶりに現れているし、清々しい。 一度聞かれたことはきちんと書き留め、 二度と同じことは聞かれないし、 接客にも積極的ですぐに慣れてゆく。 いまだに上手く話せないまゆこよりも、 よほど慣れているように見えた。 そのうち、彼の人並み外れたルックスも効を奏して 病院は、前よりも賑わうようになる。 特に美女の飼い主たちは、彼目当てに訪れると 争うように連絡先を置いていくのだった。 まゆこは複雑な思いでそれを見ていた。 有能で人当たりの良い、イケメンである。 普通なら毎日一緒にいれば、 好きにならない訳はない。 だが、彼女は初対面の印象の悪さに 心を開けずにいた。
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