<第18章>岡田の嫉妬

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今までそんなことを、 男の人に言われたことなど無い。 誉められているのは分かったが なぜ彼が、そんな悔しそうにしているのかが、 彼女には不思議だった。 「大分に、イイ人居たんか?」 じっと見られて、そう言われる。 まるで、嫉妬されているかのような言われ方だった。 ・・・まさか、ね。 「好きな人は、居ったよ。」 試すように、まゆこは告白した。 まゆこが遠い目をすると、 岡田は内臓をえぐられたような、痛そうな顔で彼女を見た。 「この間、離婚したって聞いたから 会いに行ってん。 楽しみにしてたのにな、 離婚する前から20代の子と不倫してたんやて。」 そう言いながら思い出すと、 切なくて涙が滲んでくる。 「子供も産まれんような女は、もう女や無いらしいわ。」 そう言いきって、涙を拭ったまゆこを 岡田が突然抱き締めてきた。 「!?」 まゆこは驚いて彼を見る。 「どないしたん?」 辛いのはまゆこの方なのに、 岡田の方が、数倍悲しそうな顔をしていた。 辛そうな表情がとてもキレイだった。 やっぱり岡田君は、うちの王子様や。 ついうっとりと、見つめていると 隣の部屋から「ゴホン!!」 と咳き込む兄の気配を感じて まゆこは慌てて岡田から離れた。 “・・・私は何をされていたのだろう?”     
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