<第4章>泣き言

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「お前が他の仕事で勤まるとは思われへん。年も年やし。」 そう返され、彼女はカチンときた。 「うるさいな、兄ちゃんもあいつも 人をおばちゃん扱いしてから。」 彼女がつぶやくと、 「岡田君とケンカしたんか?」 と聞かれた。 まゆこは黙っている。 「岡田君が、まゆこに悪いこと言ったって言ってたから。 何かあったんやろ?」 と彼は言った。 「何もない。」 「嘘や、顔に書いとる。お前なんでそんなに愛想無いんや?」 兄も岡田も同じことを言う。 まゆこの胸が苦しくなった。 「愛想良くして、良いことあるんか? うちにはわからんわ!」 「お前な、そんな考えやったら どっこも雇ってくれんよ。 同じ仕事するんなら、 若くて可愛い女の子がええに決まっとるやろ。」 兄にはっきり言われて、涙が溢れてきた。 「うちがブスなんは、知っとるよ。 ブスのおばさんはどこにも求められへん。 そんなの知ってるわ。」 昼のことを思い出して、涙がまた出てきた。 そんなに私が悪いのだろうか? そんなに私は偏屈なのか? 「まゆこ、お前はブスなんかや無いで。」 兄が言うのも安い慰めにしか聞こえない。 「おばさんや言うけど、お前はまだ40やないか。 普通は女盛りやで。 やのになんで、自分から諦めとるんや。」 それでもまゆこは     
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