<第13章>気落ち

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<第13章>気落ち

翌日仕事中に長いため息をつくタクトに 院長が 「どうしたん?」と聞いてきた。 たかだか半日 ラインの返事が来ないくらいで みっともないと思うのだが、彼はずっと気にしていた。 「まゆこさんから、”岡田君はうちの王子様です“ ってラインが来たんで “俺は生身の男やで”と返したら、返事が来んのです。」 タクトがぼやくと 院長がたまらずに吹き出した。 「そらまゆこも、恥ずかしかったんと違うか? キス位はしたんやろ?」 「ええ。」 「男もそうやけど、女もキスしたら 自分の身体に起きる反応があるやんか。」 「・・・・まあ、そうやとは思いますけど。」 色々想像して、タクトは赤くなった。 「あの子はそれを思い出して、 何も返されへんくなったんと違うか? 昔からシャイな子だったから。」 彼女の中の欲望に、火をつけることが出来たのだろうか? なら自分としては本望だった。 彼は仕事が終わるのを、 今か今かと待っている。 早くまゆこに会いたかった。
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