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大きくて、ごつくて関節の目立つ指。
じっと見つめられて目が離せない。
「何で岡田君は、そんなにキレイなの?」
まゆこが吐息混じりに言うと、
岡田は耳まで赤くなった。
「カッコええとは言われるけど、
キレイはちょっと恥ずかしいわ。」
照れる顔に胸がキュンとなる。
「そりゃカッコええけど、やっぱりキレイやわ。」
重ねて言うと、余計に赤くなった。
「まゆこさんの、意地悪。」
彼はそう言うと、彼女の手をとりそこに口付ける。
今度はまゆこの顔が赤くなった。
「そゆとこが王子様やねん!」
ボソッと言うと、岡田が笑った。
「じゃあまゆこさんは、姫さんやな。
長い髪をたらして、塔の上で待ってるやつや。
何やったかな?」
「ラプンツェル?」
「そうそう。」
おとぎ話など興味ないように見えるのに、意外だった。
「もう髪の毛、切ってもうたわ。」
まゆこが言うと、
「王子様はやってきたから、ええやんか。」
と彼女の髪を撫でながら、岡田が言った。
そしてそのまま引き寄せられると、
そっと口付けされた。
「今は王子様でもええよ。
そのうち生身の男の部分、たっぷり見せたるから。」
言われて彼女は急にドキドキする。
いつか見たような、危険な瞳だった。
「だから早く治して戻ってきてな。待ってるから。」
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