<第21章>タカヒトへの電話

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<第21章>タカヒトへの電話

岡田隆仁こと、タカヒトが仕事を終えて帰宅すると 携帯に着信が入る。 彼女のひろこさんかな?と思い ワクワクして電話に出ると、従兄弟のタクトだった。 先日彼が盆休みに帰省した時に、 彼女のひろこさんに横恋慕して タカヒトがタクトを殴ったりしたりと 一悶着あった訳だが、 最終的に二人は和解している。 珍しい電話に、どうしたんだろうと思って 彼は出た。 「タカヒト、今大丈夫か?」 「うん。珍しいね。どうしたの?」 「たいした事無いんやけど、聞いて欲しくてさ。」 たいした事ないのに電話をかけてくるなんて、 結構な一大事だぞとタカヒトは思った。 用もないのに連絡があった試しなど、今まで無い。 「何?」 「俺さ、好きな人が出来てん。」 「・・・珍しいね、そういう話してくるなんて。」 タクトは昔から本当に良くモテる。 マメだし、芸能界からのスカウトも何回も受けてるし、 人当たりもいいし、おまけに賢い。 付き合った女性など、星の数ほどいるに違いなかった。 (実際女好きだし) 未だかつて、彼が誰かを好きになって、 年下の、ほとんど女性経験も無いような (自分で言うのもなんだが)頼りない従兄弟に 電話してくるような事などなかったのに。 さては・・・     
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