<第21章>タカヒトへの電話

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「相手は年上の女の人?」 タカヒトは、11歳年上のひろこさんという 会社の先輩と付き合っている。 地味だけど、仕事の出来るチャーミングな女性だった。 彼女に惚れたタクトなら、 似たタイプの年上女性を好きになる事は 充分考えられた。 「お前にしては、鋭いな。」 褒められたか、けなされたのかは分からないが 当たりらしかった。 「やっぱりそうか、意外と分かり易いな。」 反撃すると、彼は黙り込んだ。 「いくつの人?」 黙られても困るので、水を向けてみる。 「・・・15歳年上の、46歳。」 ほほう。それはなかなかである。 「どこで知り合ったの?」 「うちの病院で働いてる。」 と彼が返した。 少し気になってタカヒトが尋ねる。 「ねえ、ひろこさんに似てるの?」 「おまえ!やっぱり鋭いわ。 勘が良くなったな。」 今度は本気で感心された。 「どことなくやけどな、しっかりしてるとことか 自分の意見をはっきり言うところとか、 その割りにほわんとした雰囲気とかな、似てんねん。」 声のトーンが上がった。 これはかなり本気な気が、する。 感情を表に出したところなど、 ほとんど見たことが無いのに、別人と話しているようだった。 「なあ、おまえ。 ひろこさんと付き合うようになった きっかけとかあるん?」     
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