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<第25章>彼氏になりたい その3
香水の匂い、彼の体臭。
筋肉の感触を全て感じながら
病院のベッドの上で、まゆこは岡田に抱きしめられていた。
いつもよりも熱っぽい目で見られ、
口付けをされた後
「俺の彼女になってよ。」と囁かれる。
頭の中が真っ白になって黙っていると
耳元にキスをされ、耳たぶを噛まれた。
「!?」
ぞくっとして、背中が反る。
彼に掴まると、首筋にキスをされた。
くすぐったいような、
ゾクゾクするような感覚に戸惑う。
彼を見上げると、優しい目でまゆこを見下ろしていた。
「まゆこさん、色っぽいで。」
そう言われて、真っ赤になる。
「まだダメなんは分かってるけど、俺
まゆこさんが欲しいねん。」
そう言うと、彼は再びまゆこに口付けた。
「まゆこさん、口を少し開けて。」
彼女がかみ締めた口元を緩めると、
岡田の舌がゆっくりと侵入する。
そして、彼女の口内をなぞると
舌と舌が絡み合った。
一瞬驚いて身を引こうとするまゆこを、
岡田が強く抱く。
岡田の指が、まゆこの
背中と耳元にゆっくりと触れていった。
抵抗できずに、彼女はされるに任せている。
しばらく身を委ねていたが、
息が荒くなり涙目になってきた。
身体が、熱い。
「あかん、これ以上は堪忍して。」
岡田にしがみつきながら、まゆこが囁いた。
「どうかなってまうわ。」
「なっても、ええよ。」
いたずらっぽく言われるが、
「あかんって、ここは病院や。」
はあはあと息を切らせながら、
彼女はやっとの事でそう言った。
「まゆこさん、返事は?」
「へ?」
尋ねられて、ようやく何を聞かれていたのかを思い出した。
真っ赤になる。
「こんな事、付き合ってないとようできひん。」
そう言うと、彼にしがみつく。
「なあ、俺のこと好きか?」
「好きや。」
頷く彼女の顔を、岡田は満足そうに見た。
「岡田君の一番やなくてもええ。岡田君のことが好きなんや。」
岡田がまゆこを見つめると、
彼女の瞳に涙があふれてきた。
「岡田君はカッコええし、うちの方がかなり年上やし
好きになんか、なってもらえへんって
ずっと思ってたのに。」
泣き出した彼女を抱きしめると、
岡田は背中をさすり始めた。
見つめる視線が優しい。
「好きになってしもうたら、止められへん。
どないしてくれるんや。」
グズグズと泣くまゆこの頬に、岡田はキスをした。
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