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<第26章>貴女だけを
とうとう彼女から、『好き』だと言ってもらえた。
タクトは嬉しくて、まゆこをじっと見つめている。
深いキスをしたときの、彼女の新鮮な驚きが
初々しくて愛しかった。
「どうかなってしまうわ。」
と言われた時、
理性が飛びそうになって、そのままベッドに押し倒しそうになる。
なんとか彼は、思いとどまった。
「好きになってしまったら、止められへん。
どないしてくれるんや。」
そう言って泣き出した彼女の頬に、
キスを落としてタクトはまゆこを抱きしめた。
「俺だけ見てくれたらええよ。
まゆこさんは俺の一番だから。」
「・・・一番ということは、二番も三番もおるんやろ?」
真っ直ぐに見つめられて、タクトは笑った。
「二番以下は同じや。まゆこさんか、それ以外の女か。
それだけや、俺にとっては。」
彼にとってそれは本気だったが、
彼女は信じられないと言った顔で
タクトを見つめていた。
「信じてくれへんでもええ。
ずっとそばにいたら、いつか分かってくれるやろ?」
そう言うと、彼は再びまゆこにキスをした。
時間が止まればいいのに。
タクトは思った。
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