<第27章>遅すぎた告白

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<第27章>遅すぎた告白

岡田が帰ってしばらくすると、 平井がまゆこの病室へやってきた。 まゆこの頬はまだ上気している。 さっきまでの出来事が、信じられなかった。 “俺だけ見てくれたら、ええよ。 まゆこさんは俺の一番だから。” そう言われた時、胸がぎゅうっとなって どうしたらいいのか分からなかった。 素直に『嬉しい』と言えなくて、 ひねくれた事を言ってしまったのに 岡田は優しかった。 素直になりたい。 でも、怖い。 長いため息を彼女はついた。 「音成、どないしたんか?」 心配そうな平井に、まゆこは微笑んだ。 「恋わずらいや。」 へへへ、と照れ笑いするまゆこを 彼は少し切なそうな目で見た。 「彼がつれないんか?」 「ううん。」 まゆこは首を横に振った。 「逆や、優しすぎんねん。 優しくされる事に慣れてないから、 どないしたらええのか、分かれへん。」 そう言うと笑った。 「幸せ、なんやな。」 「うん。」 沈黙が生まれた。 「なあ、この間音成に誰もおらんかったら 恋人に立候補するって言ってた話あるやんか。」 「うん。」 「あれな、本気やったんやで。」 まゆこの目が丸くなった。 「昔から、おまえの事が好きやったんや。 おまえはぜんぜん気付いてなかったけどな。」 「タイミング、悪いわ。」 まゆこがボソッと言うと、平井が苦笑した。 「別れた嫁さんからも、よく言われてたわ。 何でやろうな?」 「それが平井くんの良いとこでもあるけどな。 うちもこの年で初めて彼氏ができたんや。 今でさえなけりゃねえ。」 苦笑するまゆこを、平井がやさしく見つめた。 「あの人に振られたら、候補に入れといてや。」 「もしそうなったら、考えとく。」 二人は笑いあった。
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