<第33章>両親との対話

1/1
前へ
/47ページ
次へ

<第33章>両親との対話

院長の葬儀を終えて、火葬場で遺体を焼いたとき 人はこんなに小さくなるものなんだなと タクトは思っていた。 カラカラの白い骨の欠片を、拾ってゆく。 “奥さんの下で、安らかに眠ってください。” 淋しいけど、清々しい気持ちで 彼は亡き人を見送っていた。 葬儀の際に、まゆこを両親に紹介したタクトは 年齢差の割に、二人が驚いた顔を見せなかったので 意外に思った。 まゆこの居ない所で、こっそり二人に尋ねる。 「おとん、おかん。ビックリせえへんかったか?」 タクトの質問に、二人は笑った。 「キョウコに聞いて知っとったし、 あんたは昔から頑固やったからな。」 と、母に言われる。 「小学生のときに挨拶に行ったの、覚えてるよ。 あのときのお姉さんなんやろ?」 タクトはそう言われて赤くなった。 「女の子をとっかえひっかえして、 悪い噂しか聞かんし、心配しとったけど、 ようやく先の事を考えてくれるように なったんかと思うと、嬉しかったで。」 そう言われて、恥ずかしくなる。 「・・・・心配かけて、ごめん。」 二人に謝ると、父親に肩を叩かれた。 「しっかり彼女を守るんやで。」 「ありがとう。」 タクトは二人に向かって頷いた。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加