<第1章>拒絶

2/3
前へ
/47ページ
次へ
一晩だけの事と、お互い納得ずくのはずだった。 「きちんと避妊はしてましたが、男のやれる事だから 100%は無いと思います。 2割くらいは可能性があるかもしれません。」 タクトはそう言うと、院長とまゆこを見た。 「彼女が俺の子を妊娠したと言うなら、きちんと話し合ってきます。 元々特定の人と付き合うつもりも無かったし、 お互いにそのつもりだと確認していたんで。」 はっきりとタクトは言った。 「俺はまゆこさん以外の人と、結婚したいとは思いません。」 「産まれる子供はどうするのよ!」 まゆこが叫んだ。 彼女は泣いている。 その顔を見たら、タクトの胸が苦しくなった。 「俺の子なら、そして彼女が産むつもりなら 認知はします。」 だけど、と彼は続けた。 「彼女と結婚する気はありません。」 「そんな無責任な。病院なら うちのことは気にせんでも岡田君が継いだらええ。」 まゆこがそう言うと、タクトは彼女の両肩を掴む。 病院目当てで、まゆこと付き合っていると思われるのは 心外だった。 「今病院の話は関係ない。好きでもない女と結婚するのが、 責任を取るということなんか?」 タクトが叫んだ。 「他の女との間に子どもが居る俺が嫌なら、 俺の事嫌ってもええ。 俺は、まゆこさんとしか結婚したくないんや!」     
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加