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<第33章>両親との対話
院長の葬儀を終えて、火葬場で遺体を焼いたとき
人はこんなに小さくなるものなんだなと
タクトは思っていた。
カラカラの白い骨の欠片を、拾ってゆく。
“奥さんの下で、安らかに眠ってください。”
淋しいけど、清々しい気持ちで
彼は亡き人を見送っていた。
葬儀の際に、まゆこを両親に紹介したタクトは
年齢差の割に、二人が驚いた顔を見せなかったので
意外に思った。
まゆこの居ない所で、こっそり二人に尋ねる。
「おとん、おかん。ビックリせえへんかったか?」
タクトの質問に、二人は笑った。
「キョウコに聞いて知っとったし、
あんたは昔から頑固やったからな。」
と、母に言われる。
「小学生のときに挨拶に行ったの、覚えてるよ。
あのときのお姉さんなんやろ?」
タクトはそう言われて赤くなった。
「女の子をとっかえひっかえして、
悪い噂しか聞かんし、心配しとったけど、
ようやく先の事を考えてくれるように
なったんかと思うと、嬉しかったで。」
そう言われて、恥ずかしくなる。
「・・・・心配かけて、ごめん。」
二人に謝ると、父親に肩を叩かれた。
「しっかり彼女を守るんやで。」
「ありがとう。」
タクトは二人に向かって頷いた。
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