<第1章>拒絶

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<第1章>拒絶

浮かない顔で帰ってきたまゆこを タクトが玄関先で心配そうに迎える。 血の気が無い。何か言われたのか? 心配で仕方なかった。 「顔色、悪いで。」 彼がそう言って、まゆこを抱きとめようとするが その手を振り払われた。 「!?」 「岡田君、帰ってくれるか?」 まゆこに冷たい目で見られて、タクトは呆然としていた。 「おい、まゆこ。 岡田君は今までずっと心配して待っとったんやぞ。」 院長に非難めいた目で見られて、 彼女は目を伏せた。 目に涙が浮かんでいる。 「俺、まゆこさんのことなら何でも受け入れますから。 だから、話してくれませんか?」 まゆこの目を見ながら、タクトが言うと 彼女は黙って白い封筒を差し出す。 「この人から、“岡田君の子供を妊娠してる”って言われた。」 封筒の中身を取り出してみる。 自分と一緒に映ったその顔には、見覚えがあった。 「高校の同級生や。この子に会ったんか?」 まゆこは黙って頷いた。 「岡田君、身に覚えはあるんか?」 院長に聞かれる。 「そういう行為をしたか?と聞かれるんやったら、 そうです。3ヶ月くらい前に同窓会があってその帰りに。」 隠し立てしても仕方ない事だった。 まゆこと心が通じ合う前の事だし、     
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