16歳 秋(1)

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 ディスってるとしか聞こえない鈴木の力説だったけど女は鼻で笑って一蹴した。 「髪の毛? ピアス? そんなの髪は切っちゃえばいいし、ピアスも外せば済むでしょ」  そんなに簡単でいいのか新部長。 「体育の授業でどうかは知らないけど、君、絶対に運動神経はいいはず。今からでもきっといい成績出せるよ。ねっ?」  二回目の「ね?」と共にグイグイと迫ってくる。  背が高い分その顔は鼻先まで普通に寄ってきて俺は一歩下がった。  女に迫られるのは慣れてるけどこんなシチュエーションは初めてだ。  後ろの鈴木を見ると、その目は絶対に引き受けるなと言っている。  そんなふうに見なくても、美紅に関わらないと決めた今、その彼氏であるあいつのいた陸上部にも関われるわけがない。 「悪いけど俺、そういうの全然興味ねえから」  そう言ったのに。 「また来るから考えといてね。・・・じゃあ鈴木、さっき言ったことは頼んだから」  ひらひらと手を振って女部長は去ってった。
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