11歳、夏

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 俺もリエさんも周りに騒がれることなんて気にもしていなかったけど、もうすぐ定年になるという教頭に拝みたおされて渋々髪の色は元に戻すことにした。 「あーあ、カッコよかったのにねえ。つまんない」  俺を学校に残して帰っていくリエさんの残念そうな言葉に、教師たちが嫌な顔をしたのは言うまでもない。  教室に戻った俺はまたクラスのやつらに囲まれて、担任が躍起になってその固まりを散らそうとした。  その日は結局一日中いろんな視線を浴びて、でも、誇らしいわけでも恥ずかしいわけでもなく平気で過ごせた俺は、やっぱり変わったガキだった。
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