13歳、秋

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 そんな俺が最初に告られたのは入学してすぐの四月。  相手はやっぱりちょっと派手めの女子。 「ねえ、付き合おうよ」  話の途中でさらっと言った。 「付き合うって何?」 「んー・・・一緒に帰ったり、どこか行ったり、夜LINEや電話したり?」 「そんなんでいいなら」 「じゃあ、連絡先教えて」 「いいよ」  俺にとっては小学生の遊びの延長のような感覚。だけど相手は違った。  ファーストキスもそいつで、俺にとっては「こんなもんか」って感じだったけど、それで俺に執着するようになった。  たまに一緒に帰って、たまにどこか行って、たまにLINEする。「たまに」だけじゃ気に入らず「いつでも自分を見てろ」みたいなのが面倒くさくてすぐにやめた。  それからも結構告られて、その度に「たまにでよければ」と答えたが、それでもいいという女が多いのは不思議だった。  そんな事が続いたら秋には女たらしの評判が立ってた。  ・・・当たり前か。
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