<第2章>@タカヒト

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<第2章>@タカヒト

数日前、気の利いたプレゼントなど 思いつかない彼は、いつものように 友人の岡村透こと、トオルに相談していた。 「ひろこさんのクリスマスプレゼント、何がいいかな?」 「リクエストは、無いの?」 「特に無くて、困ってるんだよね。」 タカヒトが言うと、トオルはニヤリと笑った。 「どうせなら、二人で使えるものがいいよな?」 そう言われ、選んだのが今回の口紅だった。 だが、何故口紅なのか?彼は知らない。 言われるまま、 彼女の唇を彩る為、一番良い色を探してきた。 ひろこの黄みがかった白い肌には、 コーラルピンクが似合うと思うのだ。 ゴールドの容器に彫られた 彼女の名を思い出しては、 タカヒトはニヤけていた。 「ねえ、どうやって二人で使うの?」 買ったその日に、彼はトオルに電話を入れる。 トオルは笑いながらこう言った。 「そうだな。とりあえずお前の手で、 ひろこさんにそのリップを塗ってやれ。 そこからゲームのスタートだ。 あとは、我慢比べかな?」 それ以上は、聞いても教えてくれない。 「やったら分かるから。」 そう言われても、彼には納得できなかったが 素直に言われたとおり、試してみようと思っていた。
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