<第4章>@ひろこ

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<第4章>@ひろこ

BAR TAKEFIVEで 翔とカナのカップルと待ち合わせていた タカヒトとひろこは 二人に婚約祝いのプレゼントを持参している。 マイセンのペアカップだ。 シンプルな白だが、浮き出た模様が美しい。 二人に似合うのではないかと思って、 選んだものだった。 「すごく嬉しい!」 カナが涙ぐみながら言う。 買おうと思えば、翔の財力なら何でも買えるのだろうけど とにかく二人をお祝いしようと 思ってくれている、気持ちが嬉しくて 彼女は泣いていた。 そんなカナを、翔が優しく見守る。 彼も良い顔になってきたなと、 ひろこは嬉しく思いながら二人を見ていた。 カナの薬指にダイヤの指輪が光る。 “ハリーウィンストンだ!” その輝きに、ひろこの目が釘付けになった。 「指輪、良く似合うね。」 ひろこが言うと、カナははにかみながら微笑んだ。 「ありがとうございます。 どこのかは知らないけど、すごくキレイだったから。」 ここがカナのお嬢様たるゆえんだなと ひろこは羨ましく思っていた。 ブランドではないのだ。 気に入ればいいのである。 そしてこの指輪も、そういう人を 持ち主として選んだのだろうなと思っていた。 なかなか庶民には、その境地には立てない。 ふっと翔と目が合うと、 彼は笑った。 考えている事は、一緒だろう。 「二人は本当に、お似合いね。」 ひろこが言うと、翔とカナは笑った。 「ひろこ先輩と、タカヒトもとってもお似合い。」 カナが言う。 確かにどちらも お互い以外の組み合わせは考えられない。 そう思うと、面白いめぐり合わせだなと思った。
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