<第1章>@タカヒト

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<第1章>@タカヒト

その日、岡田隆仁ことタカヒトは デパートの化粧品売り場に 立ち尽くしていた。 彼女のひろこさんに、クリスマスプレゼントを買うために 出かけてきたのだが・・・・。 「・・・全く分からないよ。」 彼は人でごった返す、売り場の真ん中にいた。 邪魔そうにぶつかってきた妙齢の女性が、 舌打ちしながら、彼を見上げて文句を言いかけたが 「すみません。」 と、タカヒトが 困ったように微笑みながら謝ると、 顔を赤らめて、どこかへ足早に立ち去って行く。 目を凝らして、一つのカウンターを彼は見つけると そちらへ一目散に向かった。 メモ紙に書いてきた品名を頼りに、 コーラルピンクのリップを買い、 彼女の名前を容器に刻印してもらうと その場を立ち去る。 一仕事、終えた気分だった。
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