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それが、ギンギンとの出会いだった ~~~~~~~~
「今思えば、この俺に直々に授けぬところが父上らしい事よ。
ただ、あの時ゼスタフェが何ゆえ俺の居場所を知ったのかは、いまだに謎だがな……(アイツはエスパーかっっ)」
ギリザンジェロがのんきに昔を懐かしんでいる内に、白熱した魔馬レースは中盤を迎えていた。
そろそろギンギンが挑戦魔馬を引き離しているものと思いきや、双方いまだ、一歩も譲らぬ状況に変わりない。
このあるまじき、想定外の展開を目の当たりにしたギリザンジェロは、
ギンギンが発している本気モードの死にもの狂いさにもいら立ちを覚え、
額にメキメキと凸凹の青筋を浮かび上がらせた。
「ギンギンめ!! いつまで愚魔馬と仲良く肩を並べておるのだ!!」
「兄上、仲良くではないと思います」
「それもあのように本気になりおってからに! うぬぬぬ~!!」
焦れこんでいるのは、ギリザンジェロだけではなかった。
いつまでたってもどちらも頭ひとつ抜き出ないこの競走に、煎路もまた不満をつのらせていた。
「はっせん! どっこいどっこいレースはいいかげんにしろっっ。早いとこケリをつけるんだっっ!!」
ギリザンジェロのはた迷惑な思い付きから始まった、別枠レース。
そして、それに乗っかってきた煎路。
それぞれの主人の欲望に満ちたこのレースを制すべく、二頭の魔馬の熾烈な戦いは運命の終盤へと、一直線に向かっていた。
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