破
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――と、一瞬、意識をここに向けなかった。 それが、良くなかった。 彼の手の中にあるスマートフォン。 その画面の、上の方。 インカメラで写っていた彼の顔ではなく――。 写っていたのは、メッセージアプリの着信。 思わず、彼の手から抜き取り、そのまま部屋を飛び出した。 彼の表情など、見られるわけが、ない。
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