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序
予報では、残念なことに夜になるに連れてひどい吹雪になる、とのことだった。
困らない、と言えばそれは明らかな嘘になる。
だったら朝の内から、もしくは夜が明ける前あたりから吹雪いてくれた方が助かるということもある。どうにかなりそうだ、という淡い期待を抱かせて置いて、「すみません、雪のためここで運行を取りやめさせていただきます」などという判断を下された日には――という話なのだ。ならば最初から全面的にストップさせてくれた方が、諦めも付くのである。
帰りの時間帯に悪天候がぶつかってくるとなれば、懸念されるのは『帰れなくなる』ということ。
これは『行けなくなる』ことよりも余程性質が悪い。『行けない』こととはつまり『家から出られない』ということだが、家から出る必要もなくなるのだから何も問題は無い。ベッドの中だったり、テレビの前だったりで、時間を潰せば良い。簡易的な休日に等しい過ごし方になる。この対比として考えるならば、『帰れない』は相当の悪夢だ。
しかし、だ。しかし、なのである。
こういう場合、そういう目的があるのだから、この例には当てはまらない。
それはそれは、もう。男の意地というモノを見せねばならないのだ。
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