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「天崎さん、これ、僕のオススメなんだけど~……」
そう言って、声優志望でアニメと特撮オタクの秋光が差し出したのは、『変身ライダーシリーズ』のDVDだった。
最初こそ、女に免疫が無いゆえに、警戒心とぎこちなさ満載で年下の倫音に対しても敬語で話しかけていた秋光だったが、1週間が経過する頃には、積極的かつ馴れ馴れしく振る舞うようになっていた。
「……で、ライダーが変身する時に『チキチキチキッ』って秒を刻む効果音がカッコいいんだよね~」
会話が寒いんだよ、バカ。
天崎さんみたいに普通の、いや普通以上のレベルの女の子にマニアックな会話と共にマニアックな物を薦めるな!
と、秋光に毒づきたいところを涼太はグッと我慢した。
さぞや呆れた顔をしていることだろう、と大量のDVDを抱えて返却しつつ遠目からカウンター内の2人の様子を覗き見るが、倫音の反応は意外な物だった。
「面白そうですね。借りてみます」
涼太の想像とは真逆の、それはそれは爽やかな笑顔と共に、ドヤ顔の秋光からDVDを両手で丁寧に受け取っていた。
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