1.はじめての労働

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けれど、これまでとは打って変わって、曇った表情で倫音は答えた。 「名前で呼ばないでください」 「え?」 「私は苗字の『アマサキ』の音が気に入っているので、そちらでお願いします」 「そう…」 「お先に失礼します」 珍しく強い口調の倫音だったが、気を取り直したように再び笑みを称えながら小さく会釈した。 扉を引こうと倫音がドアノブを掴みかけると同時に、勢いよく反対側から押されて開いた。 「……ざーす!」 語尾しか聞き取れない挨拶を口にしながら入ってきたのは、NAMIYAのスタッフトレーナーを着た背の高い男。至近距離で対面するが、見慣れない顔だった。 察したように、涼太が仲介に入った。 「2人は初めて会うよね。 夕方の繁忙期に時短バイトで入ってもらってる天崎さん。彼は、いつもは深夜0時から朝8時までの深夜勤の……」 「タカシでーす。ちーっす!」
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