プロローグ

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日暮れ時のスクランブル交差点。 街頭テレビのスクリーンに、ワイドショーのライブ映像が映し出される。 「また、不倫?」 「懲りないねぇ」 行き交うあまたの人々が流し見をする中、政治家と有名女優との不倫報道を、じっと見入っている1人の少女がいる。 「おねえさん、綺麗っすね」 錆びかけた茶髪頭を掻き上げながら、細身の黒スーツを着込んだ男が、こなれた様子で少女の背後から回り込むように近づく。 「やべ、ホントに上玉じゃん!」 少女の正面に立つと、水商売のキャッチの雛型のようなセリフを吐いた。 「おねえさんなら、すぐにナンバーワン! 稼げるっすよ。あ、もう他の店で働いてる? これから出勤?」 少女は、視線をスクリーンに釘付けにしたたまま答える。 「働いてません。私、未成年ですから……」 少女の名前は、天崎倫音。 これは、倫音が不倫ハンターになる以前。 少し昔に遡ったお話です。
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