59人が本棚に入れています
本棚に追加
普通に聞こえてるんだよ、バカ。
女と付き合ったことはおろか、手さえ繋いだこともない童貞のお前が言うな。ついでに、声優志望で無駄に良い声の癖に、容姿は『若返った子泣き爺』ソックリさんのお前が言うな。
と、秋光に毒づきたいところを涼太はグッと我慢した。
自分は近い内に、この『NAMIYA』中央店の次期店長になる。
現店長がエリアマネージャーに昇格するタイミングで、正式に辞令が下ることが約束されていた。
真面目で何が悪い。
くだらない夢にしがみついている余裕なんて、自分には無い。
なぜなら…
「いらっしゃいませー!」
口に出せない愚痴の数々を心の中に吐いていた涼太を、澄んだ呼び声が現実へと引き戻した。
「おっ、良い声だね、天崎さん!」
黒髪の前髪を真っ直ぐに切り揃えた美少女・天崎倫音は、はにかんだ笑顔を向けた。
最初のコメントを投稿しよう!