1.はじめての労働

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普通に聞こえてるんだよ、バカ。 女と付き合ったことはおろか、手さえ繋いだこともない童貞のお前が言うな。ついでに、声優志望で無駄に良い声の癖に、容姿は『若返った子泣き爺』ソックリさんのお前が言うな。 と、秋光に毒づきたいところを涼太はグッと我慢した。 自分は近い内に、この『NAMIYA』中央店の次期店長になる。 現店長がエリアマネージャーに昇格するタイミングで、正式に辞令が下ることが約束されていた。 真面目で何が悪い。 くだらない夢にしがみついている余裕なんて、自分には無い。 なぜなら… 「いらっしゃいませー!」 口に出せない愚痴の数々を心の中に吐いていた涼太を、澄んだ呼び声が現実へと引き戻した。 「おっ、良い声だね、天崎さん!」 黒髪の前髪を真っ直ぐに切り揃えた美少女・天崎倫音(あまさき りんね)は、はにかんだ笑顔を向けた。
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