<第3章>罪悪感

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<第3章>罪悪感

美穂子は、音成まゆこに封筒を渡したその日から、 毎日悪夢を見ていた。 岡田に冷酷な表情で見下され 「たった一回やっただけで、俺の女になれるとでも思ったんか? 怖い女やな。」 と言われる。 「他の男の子供を妊娠してるくせに、図々しいわ。」 その口調と表情は、無機質な能面のようで この世の物とは思えなかった。 本気で怒っている顔だ。 目が覚めて気分が悪くなり、病院へ行くが お腹の子を下ろす話が なかなか切り出せない。 美穂子は何も言えないまま、検診を受けていた。 「育ちが、悪いですね。」 「え?」 「栄養状態が悪いのかもしれません。 大きな病院を紹介しますよ。」 そう言って、先生が総合病院の紹介状を書いてくれた。 美穂子は転院先で、 堕胎手術の話を切り出す事にした。
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