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<第8章>岡田の怒り
美穂子は紹介状をもらって、総合病院へ行く。
担当の先生は、渋くてカッコいい人だった。
ちょっと切り出しにくかったが、
思い切って堕胎手術の話をする。
週数は迫っていたし、通院の手間もかけたくない。
それに早く罪悪感とおさらばしたかった。
あれからしばらく美穂子も考えていたが、
どう考えても音成まゆこにあの写真を渡したのは
間違っていたと思う。
早く謝らないと・・・と思っていたところに
岡田から電話があった。
思ったよりも彼は冷静だったが、
かなり怒っていた事は、電話でも伝わった。
彼女の事を「俺の婚約者」と言っていた時点で、
あの人には、到底敵わないと美穂子は感じていた。
切なかった。
“明日岡田君に会うときに、謝ろう。”
本当はこんな形では会いたくなかったけれど
仕方ない。
心から謝れば、きっと許してくれるだろうと
美穂子は考えていた。
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