<第9章>美穂子の哀しみ

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<第9章>美穂子の哀しみ

手術の日程を決めたあと、 トボトボと岐路に着く美穂子は 同じ病棟にいる妊婦達を、見つめていた。 幸せそうな彼女達を見ていると 産んでやれないお腹の子に、申し訳ない気持ちになる。 両親の顔が浮かぶと、 さらに申し訳なさが増した。 “私、何やってるんだろう。” 産めていたら、両親にとっても初孫だった。 “ごめんね。” 美穂子は自分の腹を撫でると、 涙をこぼした。
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