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初めて逢った日は  (痩せっぽっちの女の子だな) くらいにしか思わなかった桜を 意識するようになったのは 「仕事が上がりなら一緒に  別の店へ行こうぜ」 Kくんが桜と、もう一人の ウエイトレスに声をかけた日。 「前から狙ってたんだ」 Kくんの狙いの子は 桜とは対照的に、背も高く 身体つきも豊満で、少し 濡れたように光る唇の赤が やけに目立った娘だった。 四人でカラオケやゲームセンター、 とりあえず空いてるトコで なんとなく過ごす夜・・・。 なんとなく、なんとなくが 増えたきた初夏の公園で 僕達は、自然の成り行きのように Kくんと “赤の子”、 僕と桜という感じで 感覚をおいて、暗闇を ポツポツあてなく歩いた。 「私は中学を出てすぐに福井から  東京へ出てきたの。もう3年。  貯金が出来たから春から  デザイン学校で服飾の  勉強を始めたばかり」 桜の情報はそれくらい。 「僕もデザインは勉強したいと  ・・・ん、絵もしたいかなあ  とにかく貯金中」 僕の情報はそれくらい。 「だったら、一度うちの学校を  見に来ればいいかも」 「そうだなあ・・・」 その気もない受け答えのあと・・・ 「ふふ・・・ダメよぉ  こんなとこで・・・  そんなトコぉ、んん・・・  触った・・・らあぁ」 ”赤の子“ の甘い声が 暗闇に響き始めた・・・。 それから、皮膚を吸う音と ”赤の子“の吐息が交互に・・・。 「脱げないってばぁあ  ふふ・・・脱げたかもぉ・・  い・れ・て・・・・・」 桜は下を向いて無言・・・僕は、 「ちょ、ちょっと離れよう」 慌てて歩き出し、 桜は後に続いた。 未経験の僕は 夜でなければ困るくらいに ズボンの ”前“ を膨らませながら、 ギクシャクと歩いていた。 この日から 四人ではなく 二人ずつで、カップルで 行動するように・・・。  「女、まだ知らねーの?   ちょうどいいんじゃない?   あの桜って子。ちょっと   真面目そうだから、本気に   なられると恐いけど・・・   まあ、そこは・・・巧く   テキトーに・・・」 それこそ、適当なことを Kくんに言われて 僕はとにかく、桜を・・ ・ 桜と ”未経験から経験“ へと 運ぶ手立てだけを それだけを、考えていた ・・・とても愚かな日々・・・・。                   
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