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家を出てから三ヶ月も 経ってしまうと (まるで違う人間みたいだ) 鏡に映る自分が 垢抜けたという感じ。 メガネは止めた、コンタクトレンズに。 手入れが面倒だし、すぐに ヒラヒラと落ちていくし 厄介なコンタクトレンズ。 でも、メガネでない僕は 野暮ったさが消えた。 髪も少し伸びた分を 緩くパーマをかけて Kくんみたいに金髪とは いかなくとも、やや茶色にした。 服装もダメージジーンズや 派手なプリントのTシャツ。 3才くらいは年上に見られた。 見栄えを変えてしまうと 大胆というか、気が大きくなれた。 高校三年間で用事一つを頼むにしても、 女の子とは目も合わせられなかった僕が 「映画でも観て飯でも  一緒に食おうよ」 気軽に桜を誘えるまでに 成長していた。  「あの子はきっと処女だから   堂々と振る舞えば、経験が   薄いことなんてバレヤしない」 Kくんに言われたことも やけに自分を安心させて しまっていたから 映画館では座るなり 桜の肩を抱いて 隙をみて、手を繋ぎ・・・ ”いかにも“ 的に桜の肩を抱いて 頭を頬に寄せて軽くキス。 一つクリアすると また気が大きくなる。 二度目のデートで・・・ ” マジkiss “・・・濃厚に・・・。 Kくんに教わったまんまに 巧く舌を侵入していくと ・・・桜は僕の腕の中で じっとじっと震えていた。 僅かながら、その震えを 愛しいと思いはしたけれど、 そんな甘さは一瞬のこと。 もう僕の辛抱は限界で 顔を離して瞼を開けた桜に 「ソコ、寄ってく?」 キラキラ耀くお城のような 建物を指した。
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