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 「自動ドアを入ったらすぐ正面に   たいていの店ではパネルがあって   そのパネルの写真から部屋を   選んでボタンを押すんだ。   女の子が喜びそうな   可愛い部屋を選べよ」 Kくんの指導通りに行動。 知ったかぶりで進んでいく・・・。 本当はかなりドキドキしてた。 薄暗い廊下に観葉植物、 指した部屋の番号が点滅。 その点滅は僕の鼓動のようだった。 それを目掛けて無言で進む。 僕が指示に従えなかったのは 鍵がかかって二人きりに なってしまって、すぐ。 もう堪えきれなくて 桜に飛びついてしまったこと。 ただ夢中で桜を探ってた・・・。 桜は・・・ 桜の様子は覚えてなくて 僕が覚えているのは 初めてみる女性の身体の・・・ スミからスミまで。 それから 暗闇に響く桜の細い叫び。 なんだか自分が残酷なことを しているようで、声の度に怯む。 ところがその声が さらに興奮を呼んで 麻薬のように止まらない。 頭の芯から魂が抜けるような 心地よさが放たれたとき、 僕は勝利のような気分に浸った。 この日を境に僕は 毎日のように桜とデート。 貯金も止めて、ラブホテルに 金を注ぎ込んでいた。 ラブホテルへ行く金がないときには Kくん達みたいに公園で・・・。 それはそれで興奮を呼んでは くれたけれども、 いちいち連絡を取ったりするのが 面倒でもあったから  「一緒に住もうよ」 安直に誘った。 安直な快楽のために 安直ならぬ暮らしへと 自ら足を嵌めていった・・・。  
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