家族っていう存在

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『娘は大事には至りませんでした。ご迷惑をおかけして申し訳ありません』 仕事を抜けたこともあるので(ま、定時は過ぎてたんだけど)学年の担任グループにメールした。 『そっか~よかったですね』 『じゃあ明日今日の分も残業よろしくw』 温かい返信を見て、校長みたいな苦手な人もいるが俺はこの学校が大好きだなと実感する。 (ほんと恵まれてるよな・・・) そしてまた、ピロリンとメールが鳴った。 『ところで、奥さんに渡してくれた?』 「げっ、忘れてた!」 あの時、森田先生に阻まれた理由ー・・・それは、自筆の子育て手帳を渡されたのだ。 森田先生曰く、そこには子供の病気の対処法や育て方、食事が載っているらしい。自分の子供はもうみんな独立したので俺にくれたらしい。これを奥さんに渡そうと思って外に呼び出したのだが、渡しそびれてしまった。 「まあ、育て方なんて人それぞれだしな。それになんかあってもネットに載ってるし」 おせっかい、と言ってしまえばどうしようもないが、これは森田先生なりの優しさなのだ。 「よし、明日からまた仕事頑張るか!」 誰もいないこの家も、明日は温もりで包まれるから。
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